2023・2024年度 会長
三菱ケミカル株式会社 広島事業所
清水 和博

昨年度に引き続き、2024年度の本懇話会会長を務めさせていただく、三菱ケミカル株式会社の清水でございます。新年度にあたり一言、ご挨拶申し上げます。

化学業界は、汎用品にはじまりモビリティや半導体等のエレクトロニクス、ヘルスケア、食品、バイオ製品など幅広い業界との共創を進めています。また、日本企業は規模を追求する戦略から一線を画し、機能性化学品へシフトしています。今後のGX展開においても主力となる機能性材料市場において、更に技術力を高めていくことが必要です。

近年、素材産業において革新的なデジタル技術を持つベンチャー企業が注目されています。これまで培ってきた材料開発の知識や技術を活かし、計算科学や情報科学をあわせて材料開発技術を革新しています。ベンチャーに限らず、幅広い技術を駆使するケミカルエンジニアの育成が肝要です。

また、環境面に目を向けますと、2019年段階で我が国のCO2排出のうち、約5%を占める化学産業においては、CO2排出量の削減は使命の一つです。2024年のG7気候・エネルギー・環境相会合では、排出削減が講じられていない石炭火力発電の段階的廃止に関する年限が初めて明記され、石炭の廃止を迫る国際社会の圧力も強まり切迫した課題でもあります。

かかる状況から、プロセス革新、燃料転換、ケミカルリサイクルほか、カーボンニュートラル化に向けて、様々な変革をタイムリーに展開していくことが肝要です。このように課題解決型の技術イノベーションがより重要となるので、総合工学である化学工学が大きな役割を担うことになっていくものと考えています。

本懇話会で、皆さまとの親交を深め、技術イノベーション推進と産学、産産、そして産学官連携を強化する一役を担ってまいりたいと思います。ご支援、ご協力のほど、どうぞ宜しくお願い申し上げます。